Redshirtって? - 入学を1年遅らせるという選択肢を考えたこと
アメリカに来て初めて知った言葉にRedshirtというものがあります。
Redshirtには2つの意味で使われます。
もともとは大学でスポーツ選手が運動技能の向上のために1年競技に出ずに留年することの意味で、赤いシャツを着て練習したことから使われるようになりました。
そしてここから派生したもう一つの意味が、アカデミックな場面において、キンダーガーテンへの入学を1年遅らせる(Kindergarten Redshirting)というものです。
アメリカでは、子供の精神的成長、肉体的成長、脳の発達などを考えて「戦略的」に、初めての就学となるキンダーガーテン入学を1年遅らせるということがあります。これはそこまで珍しいことではありません。
カリフォルニアの場合、学年のカットオフ(入学を決める誕生日の区切り)が9/1です。
7、8月生まれであったり、また特に男の子の場合は周りと比べて成長が遅い子もいます。そこで無理に就学させて自信を失わせたり、勉強や学校を嫌いになるよりは、1年遅らせることでクラスでも一番年齢が上になり、自信をつけさせようという考えです。
キンダーガーテン入学を遅らせるRedshirt以外にも、小学校に入ってからキンダーや他の学年をリピートさせることもあります。
この場合、同じ学校で学年をリピートさせるとなると、他の同じクラスのお友達は上がったのに、、といった子供の気持ちも考える必要があるため、場合によっては学校を変えることも検討する家庭もあるようです。
Redshirtはちょうど小学校にあがるタイミングなので、そういったお友達のことは気にしなくていいですし、また低学年であればあるほどリピートはしやすいと言われています。
実は息子も去年の夏にキンダーにあがるときに、このRedshirtについて真剣に悩んだ時期がありました。
考えたきっかけとなったのはコロナでした。
コロナで入学を予定していた公立小学校がオンライン授業と決まりかけた頃、オンラインでは親子ともに疲弊すると思い、急いで他の選択肢を探しました。
そこで、それまで通っていたプリスクールに併設のプライベート小学校を検討したのですが、結局子供のプリスクールでの評価が基準に満たさなかったため、入学は断られてしまいました。
この学校はアカデミックに力を入れており、かなりの先取り授業をしていると聞いていたため、自分の子供には向いていないだろうなと思っていました。しかし断られるとさすがにショックでした。
そして、公立小学校のオンライン授業で学びの機会が減るくらいであれば、インパーソンで行けるプリスクールをリピートさせ、キンダーをRedshirtすることも選択肢としてありなのではないかと考えるようになりました。
息子も誕生日が遅いほうであり、かつ英語もまだまだの状態。プリスクールの先生にも相談してみたところ、「それもいいかもしれない」とのことでした。
しかし散々悩んだあげく、最終的にはキンダーに行くことにしました。
これはインパーソンで行ける別のキンダーが見つかったことが一番大きいのですが、他の人たちの意見も聞いたときに言われたのが
「プリスクールで周りが幼い英語しか話さない所だと、逆に成長ができないのでは」
「日本からやってきて、英語が分からないまま小学校の途中の学年に入っている子もいるけどなんとかなっている」
ということです。
就学する前にリピートさせるよりは、キンダー1年やってみてから考えてみようと決めました。
その結果、この決断は私たちにとっては大正解でした。
キンダーの1年で息子の成長を感じましたし、息子自身がとてもキンダーの環境を気に入っているのが分かりました。
そしてキンダーに入ってみて初めて気づいたのですが、
もしかしたらプリスクールはあまり合っていなかったのかもしれないということ。
評判の良いプリスクールで特に不満はなかったのですが、単に息子には合っていなかったのかも。
なので同じプリスクールに通い続けるよりも、キンダーで環境を変えたことがきっかけで息子の成長スイッチが入ったのであれば、変えてみてよかったなと思っています。
また、あとになって知ったのですが、やはりこのコロナの時期Redshirtを考える家庭は多かったようです。
Should 5-Year-Olds Start School This Year? - The New York Times
Millions of kindergartners skip public school: COVID-19 redshirting
ちなみに記事には、例年5%程度のキンダー入学予定者がRedshirtをするとのことで、白人の男の子で比較的裕福な家庭が多いという傾向があるのだそうです。
これもある程度納得いく気がするなという興味深い内容でした。