カランメソッドという英語学習法をご存知でしょうか?
私は名前は知っていたものの、正直な話、オンライン英会話 ネイティブキャンプ に入るまで具体的な内容は知りませんでした。
カランメソッドは、会話を通じて自然にその言語を学習できるように設計された教授法であるダイレクトメソッドの一つであり、母国語が言語習得の壁となることが多い大人にとって有効な手段として知られています。
カランメソッドの具体的なやり方には、カランメソッドのテキストにある質問を先生が2回繰り返した後に、間髪いれず生徒がその回答をフルセンテンスで回答するというものです。もちろん生徒はテキストを見てはいけません。
他のオンライン英会話に比べて生徒が話す時間が長く、英語を通常の4倍の速さで習得できる、とも言われています。
私がネイティブキャンプでカランメソッドをStage4から始めて7ヶ月。
現在Stage8を進めているところですが、これまで何度か
「カランメソッドは私の勉強の目的にあっているのだろうか」
「このまま進めてよいのだろうか」
と悩んだことがありました。
ちなみに私はアメリカに住んで2年弱、もともと仕事で英語をそれなりに使っていたため、英語学習初心者ではありません。TOEICも約10年前に900点後半を取得しています。
しかし英語中級あるいは上級と日本で傍から見て思われている人こそ、実際の英会話力が伴わなっていないことに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
私もその一人です。
巷にあふれる英語教材や英語学習法は英語学習初心者を対象としたものが多いですし、TOEIC900点後半をとっていてもそこから「英語で全く苦労しない」レベルまでの道のりは思いのほか長いと感じています。
そしてTOEIC等のスコアとして可視化しづらい領域でもあるため、目標設定やモチベーションの維持がまた難しかったりします。
ここではそんな私が考える英語中級者以上にとってのカランメソッドの活用方法についてお伝えしたいと思います。
英語中級、上級者向けのメリット3つ
口の筋トレ。英語を話すことに慣れる。
たとえ英語中級以上の方であっても普段あまり英語を話さないのであれば、たまに話さなければいけなくなった時に
「あ、私久しぶりに英語しゃべってる」
とドキドキしてしまったり、口が上手く回らなかったりすることってありますよね。
毎日カランメソッドで英語を大量に話す習慣を身につけることで、このような緊張を感じることが減り、英語を話す自分に慣れます。
これは別にカランメソッドでなくてもオンライン英会話を毎日続ければよいのではと思われるかもしれません。
それでもいいのですが、カランメソッドでは生徒側が強制的に話す時間が長いというのと、レッスンを始める敷居が低いというのが私にとっては続けやすかったです。
例えばフリートークなどとなると毎回内容を考えるのも面倒ですよね。
その結果、受け身で聞いているだけのレッスンになってしまったり、「今日はネタがないから休みにしよう、、、」という考えにも陥りがちです。
カランメソッドは事前に前回の復習をすることも大事ですが、決められた文章を話すのみなので、内容をイチから考えるといった手間はありません。
このため私は朝起きたらすぐにレッスンを予約し、10分後にはカランメソッドを受講するというサイクルを一時期続けていました。前回の復習はレッスン前の約10分間、テキストの文章を口に出して読む程度でした。
朝は「眠いなぁ」と頭も動かないしダラダラしてしまいがちですよね。
でも強制的にレッスンが始まってしまえば頭もしゃきっとして、受講後には完全フル回転モードでその後の一日を過ごすことができます。
「朝を有意義に使えている!」と自己肯定感もあがります。
また復習時間の確保としては、カランメソッドのアプリがあるのでこちらをダウンロードして、歩いている時などのスキマ時間に聞いたりもしていました。
新しい単語やイディオムを文章で身につけられる
カランメソッドで使われる語彙は日常会話で使われる平易なものが多いため、英語中級、上級者であれば見たこともない単語というのは少ないかと思います。
でも、自分にとって使いやすい単語と、意味は知っているのだけど使いにくい単語ってありますよね。同じ内容を英語にするといつも同じ英語表現を使いがちだったりします。
カランメソッドで強制的に普段自分が使わないような単語や表現を使って文章を口にすることは、新たな単語を身体で覚えることにつながります。
また、イディオムについては結構知らなかったものが多く、例文と一緒にそのまま使える形で身につけることができます。
例えば、Stage 8には次のようなイディオムが出てきます。
go in one ear and out the other = be heard but then immediately forgotten
e.g. There's no use telling him anything; it just goes in one ear and out the other.
このようなイディオムも普段なかなか使いこなせませんが、例文と一緒に覚えることで後で実際に表現として引き出しやすくなっています。
英文の脳内メモリ量を増やす
私にとってカランメソッドの一番の目的はこれでした。
日本語だと言われた文章そのまま覚えているのに、英語だと長い文章を言われてすぐに反復できないことってありませんか?
話を聞いている間は英語が耳に入っているのに、終わった後に、「あれっ。なんて言ってたっけ?」と前に言っていたことが思い出せない。
英語初心者でもよくあることですが、中級上級になっても長い文章になると途中でついていけなくなる。
これは英語を理解することに頭の負荷がかかりすぎているためなんですね。
私は以前TOEFLの勉強をする際にある本を読んで、英語のリスニング、スピーキング強化には次の3つが最強であると知りました。これを学んで以来、自分の英語力がワンランクあがった気がします。
- ディクテーション - 聞いた文章を書きとる
- シャドーイング - 聞いた文章をそのまま同時に復唱する
- リプロダクション - 聞いた文章を記憶して復唱する
特に大事なのがリプロダクション。
直前に聞いた文章を手がかりに復唱するシャドーイングと違って、リプロダクションでは頭の中に文章を溜めておく必要があります。
このリプロダクションを続けることで英文を脳内に保持しておく領域、脳内メモリの大きさが増えているように感じることができます。
そしてカランメソッドではまさにこのリプロダクションの練習にうってつけなんですね。
というのもカランメソッドだと、先生の質問に対して、「正確に」、「省略することなく」、「フルセンテンスで」回答を返す必要があります。
例えばStage8で次のようなセンテンスがあります。
Supposing there was a place, shall we say, somewhere in the middle of a jungle in South America, where you knew for sure that there was about fifty million pounds' worth of gold, but the chances of returning alive were only fifty-fifty, would you go and take a chance and try your luck, or would you just stay at home and dread about it?
このような長いセンテンスも、回答する時は省略することなしに
Supposing there was ......, where I knew ... only fifty-fifty, I'd ....
とフルセンテンスで回答する必要があります。
このような長い質問文も聞いた瞬間に頭の中に保持しておかないと、正確な回答はできません。
これを毎日続けていくことで、気づくと長い文章が頭に残るようになった、脳内メモリが拡大した!と感じるようになりました。
最後に - カランメソッドは筋トレのようなもの
英語中級、上級者でもカランメソッドは活用次第で英語スキルの向上に役立つと感じています。
しかし一方で、カランメソッドは運動に例えると筋トレのようなものととらえることもできます。
なぜカランメソッドが筋トレなのかというと、聞く、話す、文章の構造を理解するといった基礎スキルは向上するものの、「自分の考えに対して適切な英語表現を見つけながら話す」といった機会に乏しいからです。
筋トレばかりしていてもテニスが上達しないように、カランメソッドだけを続けていても英会話は上達しない、と私は考えています。
英会話にしても運動にしてもそうですが、「これさえやれば」はない!というのが私の考えです。
このため私は最初の数ヶ月は土日も含めて毎日、2レッスン計50分をカランメソッドに費やしていましたが、現在では平日1レッスンのみに減らし、残りの時間は他の英語勉強にあてています。
具体的には、私は目の前の仕事における英会話力アップが目的ですので、仕事に関連したプレゼン動画を見たり、余裕がある時はオンライン英会話でフリーディスカッションをしたりもしています。
みなさんも、カランメソッドを筋トレととらえて活用する一方、併用してより実践的な英語練習もすることで、より効果を感じられるのではないかと思います。